2020.09.11 Friday
レビュー:「コロナ黙示録』
評価:
価格: ¥ 1,584 ショップ: 楽天Kobo電子書籍ストア コメント:海堂尊の最新作。5月に書き終えたとあり、ちょうど第1波がおさまりかけたところで、書いたということか。ほとんど現実の出来事を下敷きにしているのでフィクションと言うが、これでは作者がストーリーを構想する必要ないじゃないか言いたくなる。それが今回のコロナの事態が通常の現実を超えていることを示してはいるのだが。著者の医師としての立場が強く出ていて、共感した。 |
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コロナが起こってから海堂尊氏の作品「ナニワ・モンスター」を読んだ。ナニワ・モンスターは2011の作品だが、パンデミックをテーマにしており、新型インフルエンザをテーマにした展開だが、まだAiについての話で一部に中心的に出てきたり、日本を分権的に構想するなど、こちらはフィクション性が強かった。それでもパンデミックが起きた時のパニック的な対応を政治的に利用するなど、医療の側に余裕のあるストーリーだった。その後パンデミック関連の作品は書いていないのかと思っていたら、最近「コロナ黙示録」が出したことを知り、思わず入手。著者のあとがきからはほとんど5月中に書き上げたようであり、内容的にもほとんど現実をベースにしており、これはフィクションか、という感じ。ダイアモンドクルーズから第一波にかけての出来事を対象にしているので、今の政権・マスコミの対応に対して当然ながら厳しい評価になっている。ただそれは医療に直接携わっていれば、当然の考え方であると思う。コロナは思想・文学へ今後大きな影響を与えていくだろうし、コロナ文学はペスト文学と同じようにこれからたくさん書かれるだろう。本作品はあまり現実に近づきすぎているので、文学としては残る可能性は少ないだろうが、むしろ現実を考える上で良い作品だと思う。